世界史概観 上・下刊 H.G.ウェルズ 岩波新書 (2007回顧ベスト10)
- 作者: H.G.ウェルズ,長谷部文雄,阿部知二
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1966/07/20
- メディア: 新書
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先生が自分史観で大編集してざっくりばっさり語ります。
バイアスがかかってる分、項目が有機的にリンクして一つの物語になってる。面白い。
先生の熱の入りようは本物で、それはもう地球誕生から始まって人類登場までに上巻三割以上かける位(←世界史?)(読書中は不安だったよ!)。
かと思いきや、中世欧州の動乱なんかは「権力争いのいざこざに語るべきことはないので割愛(意訳)」とか言って飛ばしてしまうのね。
まあ”世界史概観”としてはあまりにも上手く語られすぎてて出来すぎの感があるので、
細部には検証の余地があるんだろうとは思います。というか絶対ある。でも、どうでもいいよそんなの!
先生の視点ははっきりしすぎてて、それは「ヒトの性質は大体不変」「情報と技術が歴史を作る」
曰く、「哺乳類は経験の伝達を行うようになり、他生物とは一線を画し知的生物となった」(まず種として大ブレイク)「キリスト教は情報伝達機関でもあり、教会は情報集積拠点であった」(それで人類ブレイク)「馬と船舶が他文明との交流を生んだ」(ブレイク)「電信・蒸気機関により情報の伝達が大幅に短縮され国家の形態が変わった。」(それで人類大ブレイク)(以上全て超意訳)と。
快刀乱麻で心地よい。
講義を拝聴していると、まず技術があって、まるでヒトはただ群生しているだけで、政治経済なんてのはその時々の技術形態に依った一時的な相に過ぎないのではないか、と思い込みそうです。それでもいいか。
日本についてはこう。
「これまで日本は、この物語で小さな役割しか演じなかった。日本は鎖国文明によって、人類の運命の全体的形成に大した貢献をしなかったからである。日本は多くのものを受取ったが、ほとんど与えるところがなかった。(19世紀で日本が初登場した際の記述。以下続くが略)」
先生、ばっさりですけど文句有りません!素敵!
もっと早い時期に読んでいたかった。課題図書にでもして中学生に読ませればいいのに。
アマゾンで1円で売ってるんで急いで買うべき品だと思います。
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