阿修羅ガール 舞城王太郎 新潮文庫

最近文庫になった。三島賞受賞作。選評で、誉めてるはずの筒井康隆が「話がおもしろくない」と言ってたのが気になってたんだけど、そんなことはなかった。面白い。

→調布でアイコは金田陽治に恋をする。同じ頃、グルグル魔人は三つ子を殺してバラバラにして捨てる。掲示板「天の声」では煽り合いが起きて、無差別暴動「アルマゲドン」が勃発。自宅で一人のアイコは金田を呼び出すうちに魔界に旅立つ。

文芸系舞城は本当になんでもあり。メフィスト系列の作品が、一応はミステリの枠組みをなぞるのに対して(実は全くの別物だったりするのだけど)、こちらは何をされるのかが全く分かりません。表現するためには不条理、妄想、残虐なんでも持ち出しOK。物語のウェイトが歪んでいてもOK。読み手としては常に宙吊り状態で、それでも仕方なく引き摺り回されるしかないといったところ。二章半ばで唐突に始まる「森」の語りなんかには目が点、でもすぐいつもの調子になったりとか。
あまり内容について語れないのはこれがそういうモノだから、としかいいようがなくて、短く言葉にすると陳腐にしかならないし、だからこんなにも饒舌なんだろうし、これでしかできないことをやっていると思うのです。




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