レパントの海戦 塩野七生 新潮文庫
→1570年、オスマントルコはキプロスに侵攻、これを迎え撃つ為にキリスト教国は連合艦隊を結成する。両軍はレパントで激突、「ガレー船による史上最大の戦闘」は、地中海の時代の終焉を告げるものでもあった。。
「コンスタンティノープルの陥落」「ロードス島攻防記」に続く地中海戦史三部作のラスト。このへんをまとめて見ると
1453 | 1467 | |
ビザンツ帝国滅亡 | 応仁の乱 | |
1500前後 | 1492 | |
チェーザレ・ボルジアがイタリア席捲 | アメリカ大陸発見 | |
1523 | 1543 | |
ロードス島陥落 | 種子島に鉄砲伝来 | |
1573 | 1573 | |
レパントの海戦 | 足利義昭追放 | |
1600 | 1639 | |
イギリスが東インド会社を設立 | 鎖国完成 |
てな感じ。つまり、世界の舞台が地中海から大西洋・それ以上へと移っていく中での、一つの大戦争だと言えます。毎度のことながら情報の整理・描写が上手くて、この「レパントの海戦」も、海戦以前の政治・海戦・その後の政治という三部構成で経緯を追っています。地中海を死守したいヴェネチア、乗り気ではないスペイン、落日のローマと各国の思惑が入り乱れ、まさしく戦争は政治の延長であり、そしてこの戦争を境にして地中海の価値が下降していくわけです。
「コンスタンティノープルの陥落」「ロードス島攻防記」が落城の物語なら、これは地中海の時代が終わっていく物語。枯れてるように見えて、余韻の残る文章は好き。
それにつけてもキリスト連合のグダグダっぷりはどうしようもなくて、そんなんだから君らは乗り遅れるんだよって、はるか先だった。
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